身分証明とFTM―ホルモン注射後の戸惑い
2016/09/25
こんにちは、ジャンです。前回はあさひくんがホルモン注射の功罪をお話ししてくれました。今日は戸籍の性別も名前さえも変えていないFTMの僕の身分証明の話をしたいと思います。
パス度が上がると...
見た目の性と戸籍の性
さてさて、トランスジェンダーなら誰しもパス度を上げたい!と思うのではないでしょうか?FTMの場合、「お兄さん」と声をかけられ始めてからは心の中でガッツポーズをするもんだと思います。僕はそうです。しかしながらパス度が上がれば上がるほど、困ったことも出てきます。
それは身分証明です。
僕は戸籍上女性&女性名のままなので、なかなか大変です。できれば面倒なことは避けたいと思って生活をしているものの、それでも身分証明をするシーンは多いのです。
「すみません、先ほどご連絡致しました○○です」
「○○さんですね。ここに書いてあるのはお母様の名前かな?」
「...違います。本人です。」
もうこんなやり取り何度あったことか。しかも僕はかなり年齢下に見られるので(FTMは割とそうだと思います)、相手の口調も高校生に話しかけるような口調だからちょっと笑ってしまいます。
「ご本人様とはどのような続柄でしょうか?」
そして対面して保険証や免許証を出せる場合ならまだしも、一番困るのが電話!僕はホルモン注射で声が低くなっているのでなかなか大変なのです。
「失礼ですが、ご本人様とはどのような続柄でしょうか?」
「あ、本人です。」
「ご本人様、でしょうか?」
「はい、そうです。」
そして手続き後、最後に
「では最終確認ですが今お電話をしているのはご本人様ということでお間違いないでしょうか?」
「はい、間違いないです。」
...
もぉぉぉぉ!さーんかーいめ!!
とアンガールズの田中さん張りに心の中で突っ込んでしまいます。アンガールな声だけど戸籍はガールなんだよ。許せよ。でもややこしくてごめんね。
働き始める時も
そして働くときに職場でカムするかしないか問題。それに関してはこちらの記事にも書いています。
僕は今のバイトで男性として働いていますが、なんとなーく嘘をついているような気もしてしまいます。だからと言って女性として働くのもウソついてる感があるのでもうどうすりゃええねんという話ですね。ヒロトさんがおっしゃるように、それこそ海外の方が気が楽な面もあるのかもしれません。
迷惑かけてごめんなさいの気持ち
「だぁぁめんどくせぇな!」と思うことも多いです。でもその反面「わかりづらいですよね、迷惑かけてごめんなさい...。」なんて気持ちもある。仕方のないことのような、ならいっそ改名も戸籍変更もちゃっちゃとやっちゃったほうがいいのか、でもそれはやだなーとかぐるぐる考えるのです。
結局のところトランスジェンダーの何が根深い問題かって、トイレでも更衣室でもなくて「周りにウソついてる罪悪感」だと思うんですよね。この感覚って本当に自尊心を削り取っていきます。でまぁ僕はこの罪悪感でつぶれないように「笑い」という渡世術を身に付けていたわけですが...
かといって僕はホルモン注射なんかしなければよかった!なんて思わないです。むしろやってよかった。
とは言ってもデメリットがないわけではないので、その辺に関してはあさひくんの記事でご確認いただければと思います。
いいところで折り合いつけるしかない
結局ホンモノの男にもホンモノの女にもなれない僕らは、自分の生き方にうまーいところで、しっくりくるところで、折り合いつけるしかないんですね。場数を踏んでいって、悩んで考えて、居心地のいい場所や自分が腑に落ちる生き方を見つけていく。
うん、めんどくさい。でも生きていくのは楽しいことやめんどくさいこと、悲しいことや嬉しいことの積み重ねですからね。僕も日々思い悩むことも多いですが、それはそれで必要なことなんだと思います。なんかイイこと言いたかったんですが全くまとまらないので終わります。笑
ジャンに会ってみてください
レンタルジャン企画、エリアを鹿児島から九州に拡大してまだまだ実施中です!ぜひ僕をこき使ってみてください。