新メンバー三十路ゲイMasaru,人生の終着点はスペイン?〜刹那の上を歩いたその先に〜
なんだかんだ幸せな結婚生活。だけどやっぱりなんか違う、なんだかもどかしい。そんな思いはどこから来るのだろうか、多忙な毎日に埋もれながらも考えてみた。
新メンバー三十路ゲイMasaruの人生の終着点に迫る
長い旅の終着点
幸せ探しの旅路は終わりを告げた。切ない恋もデンジャラスな駆け引きももう終わり。度々喧嘩もするけれど、結局いつも元の鞘に戻るのが夫婦(夫夫)ってもんだ。色んな形がある、だけど私達の愛の形はきっとまん丸なんだ、と最近思う。今この瞬間が幸せ。大好きな好物を食べてる瞬間、幸せなセックスをしている時、家族と年末年始を共にする……そんな一瞬、一瞬が人間としての幸せなのかな?でもやっぱり、幸せなのに苦しくなる時も勿論あるさ。
セーフティーネットさながらの生活を経て
振り返ると、私の人生は決して平坦なものではなかった。いわゆるゲイとして、いや人として底辺の生活をしていた時がある。土管の中で寝泊りしたり、海外でホームレスになったこともあったっけ。どんなに辛い瞬間もきっと将来の投資なんだ!と思える程、前向きにはなれない。勿論そんな怖くて、困難な道のりをとことん受け止める程の忍耐力もなかった。ゲイとして生きてきて、周りのゲイも放蕩生活、日々ウリ専で身体を売ってはその日暮し。そんな周囲ばかりを見てきたけれど、どこかで自分は違う!自分は人生を立て直せるんだ。根拠のない自信で、自分自身を硬い鎧で繕ってきた。
「あなたの友達は変な人ばかり。」
こんな言葉を聞くたびに、イラっとする自分がいた。なんで?変って何?ただ個性的なだけ、自分の自我を強く持って、夢を追いかけて、そんな素敵な人達がどうして異質なのか?学歴にお金に仕事はないかもしれない、ゲイという自分を武器にその日だけを生きているかもしれない。だけどそんな彼らを見ると、どこか安心する自分がいた。他人は自分を映す鏡なのか……
私は己の人生を歩んで、そして自分の遥かな夢だけを手探りに人生を生きてきた。そんな揺るがない何か大きくて、強くて、頑固な物に固執した結果、私はどうやら社会人としての常識や生き方を見失ってしまったらしい。大学を卒業して、新卒で働いて、初任給で親にプレゼントを買う。年に2回のボーナスで欲しかったあんなもの、こんなものを買い込んで、恋人とのデート費用に当てたり。30にもなれば仕事も起動に乗って、役職にもつくだろう。人生の伴侶を見つけたら、マイホームに子育て……etc。そんないわゆる一般論のノーマル人生は、私の傍から足音も立てずに遠のいていった。
まとめ
幸せの間を埋めるもの
浮雲のように空に浮かんでは、ただ行きたいところに彷徨い続ける。そして行き着いた先がスペインだった、それだけ。今はそれなりの幸せを実感しているけれど、でも私が見た人間模様という幻想は、自分自身を重ねて現実逃避する為だけの隠れ蓑でしかなかった。そんな憐れな自分自身を再発見した今日この頃。
刹那に生きた過去と現在。点と点がいつか線になって繋がるとか言うけれど、私プラス旦那の弱々しい二重線はどこに向かうのだろうか。子どものまま大人になってしまったゲイの行く先は、自分自身も旦那にも分からない。結婚がゴール地点なんかじゃない。夫夫(と二羽のウサギ達)との生活に不満はない。だけどやっぱり私の理想の生き方ではない気もしなくはない。
「みんなどうしてんのかな?」過去と決別した私だけれど、やっぱり昔の思いや出会いにすがってしまう癖が抜けきれない腑抜けな自分。もう好奇心を糧に生きる歳でもないけれど、無防備で向こう見ずな過去の自分と生活が今でも愛おしくなる。
「Chin Chin!」(スペイン語で乾杯という意味)
毎日多忙を極めハロウィーンを控える10月末日、そんな取り留めのない気持ちと戦いながら今日も今日とて一杯のコーヒーで長い夜に一人で乾杯!そしてふと隣を覗き込むと二丁目のおネエじゃなくて、鼻筋の整った西洋人。スヤピピと寝息を立てて眠る彼を見ていると、クダラナイ空想旅行から現実世界にいつも引き戻されてしまう。あぁ、多分これが幸せなんだなあ、きっと。。。