LGBTのきょうだいって?トランスジェンダーの僕が弟に言われて嬉しかったこと
2017/01/26
こんにちは、ジャンです。今日は僕の弟の話をします。僕がトランスジェンダーであることをカミングアウトした時、弟はどのような反応だったのでしょうか?また、家族にLGBTがいた場合、どのように接すればよいのでしょうか?
自慢の弟
僕には弟がいます。2つ下なので年は近く、昔はよく一緒に遊んでいました。そのころ僕は髪の長い女の子だったわけですが、遊びはもっぱら男の子。ベイブレード、ドラクエ、遊戯王カード、サッカー、秘密基地づくりに川遊び。弟も僕も好きな遊びは一緒だったので、楽しく遊んでいました。
弟は優しくてクラスでも人気者。うるさくて目立つタイプの人気者ではなく、クラスの誰からも好かれている、というタイプの人気者で友達も多いのでした。英語も韓国語もでき、今のところ英語(とちょっとだけタイ語)しかできない僕としては負けてばかりで悔しい限りです。笑
そんな弟にカミングアウトをしたのは僕が20歳を過ぎてからでした。
「お前の姉ちゃんレズなんだろ」って言われたら...
僕は中学や高校の頃、カミングアウトできない理由に「弟がいるから」というのもありました。ちょうどそのころよくテレビに出ていたお笑い芸人が良くトーク番組でネタにしていたのが「姉がレズ」というものだったのです。
今やってたらかなり問題なのでしょうが、その当時はそれで笑いが取れていましたし、当時女性を好きになることにも引け目を感じていた僕はそのネタを見て、「僕は笑われるような気持ち悪い奴なんだろうな。仕方ないな」と思っていました。
でも、もし弟が「お前の姉ちゃんレズなんだろ!」といじめられたらどうしよう...。僕はそれが不安でした。「お前の姉ちゃん、男みたいだな」とか「気持ちわりいな」と、弟が言われること。
僕がいくら「男みたいだ」とか「気持ちわりい」と言われたって、それは仕方がないことです。自分のせいだと思えばそれで済みます。でも、それが原因で弟に何かあるのは絶対に避けたかったし、僕も耐えられないと思ったのです。
ただ、弟自身に気持ち悪がられる不安は不思議とありませんでした。時が来て、話をすれば弟はわかってくれるだろうと思っていたのです。
すんなり受け入れられた
僕は一人暮らしをする家に来た弟にカミングアウトをしました。弟はやはりあっさりと「あ、そうなんだ。」という反応でした。うすうす、というか割と確信に近いレベルで勘付いていたでしょうし、「自分も男の子に告白されたことがある」と言っていたので、あまり抵抗がなかったようです。若いし、だんだんとLGBTという言葉が聞かれるようにもなっていましたしね。
僕が改名することを決めた日、弟は珍しくFacebookで投稿にコメントをしてきました。僕がバックパッカー旅をしている最中でした。
「僕にとっては姉ちゃんでも兄ちゃんでもなくて、ジャンだから。
いろんなところを旅してるのを友達に自慢してるよ。」
僕にはその言葉が何よりうれしかったのです。
ホルモン注射をはじめるといった僕に対して、「そんなことしなくたって世の中が認めてくれればいい」という弟に、怒ったこともあります。「お前に何がわかるんだ」と。
弟の言うことは正論です。ただ、僕はその正論にうなずけるほど、自分のことを認められていなかった(今だって協力隊が終わって帰国したら打とうと思っていますからね。)。
悪いことをしたなぁ、と思います。別に弟に怒らなくても「あっそ、でもやるから」と言ってしれっとやればよかったのに。
家族にLGBTがいたら
もしかしたら記事をご覧の方の中には、きょうだいや家族にLGBTがいる人もいるかもしれません。そんな時にその人をその人、一人の人間として受け入れてくれる家族がいることは、非常に心強いことです。
家族だから、大切だから、簡単には受けれられないということもあるかもしれません。しかし、少しずつ理解しようと歩み寄る姿勢を見せてくれるだけでも、僕たち当事者は安心するものだと思います。
その時に核心となる話はあまりしすぎない方が良いかもしれませんね。その人の中で結論が出ているならいいのですが、大体は葛藤しながらのカミングアウトでしょう。
大事な家族にカミングアウトされたら、「あなたのことが大切なんだ」ということが伝わるよな声掛けをしてあげてください。すぐに理解できなくても、それだけで救われる人はたくさんいます。
人を傷つけるのは人です。でも、傷ついた人を救えるのも、やはり人です。
そのことを心に留めておいてもらえると嬉しいです。