私?僕?俺?他の言語でのセクシャルマイノリティの一人称―タイ語

こんにちは、ジャンです。早いものでタイに来て4か月が経過。青年海外協力隊の任期は2年ですから、6分の1が終わったということになります。日本語の一人称のようにタイ語の一人称にも性があります。今回はその比較とそこから生じる生活での気苦労のお話です。

一人称の性を比較して見よう

話しやすさに関わってくる人称の性

まずは皆さんご存知の日本語。日本語には様々な一人称があります。僕、私、おれ、うち、わし、拙者...。実際のところわしだの拙者だの言っている人はいませんね。

日本語の人称表現は、しばしば創作の登場人物のキャラクターをそれらしくする、つまりキャラクター区別のために使われており、現実よりも水増しされているのだそうです。ですが実際によく使われるものだけ考えてもわたし、ぼく、おれ、あたし、うち、自分の少なくとも6種類はあります。そして僕たち日本人はしばしばこれらをその場の空気に合わせて使い分けていると言います。普段は俺でもメールや目上の人と話すシーン等では私を使いますよね。

英語の場合一人称はIとその活用形のmeやmyだけですね。僕が知らないだけかもしれない、と調べてみましたが、やはりIのみのようです。

英語の一人称について

そしてタイ語ですが、タイ語の一人称は基本的にผม(ポムphǒm) ดิฉัน(ディチャンdìchán)ฉัน(チャンchǎn)などなどと日本語程多くはないもののいくつかあります。僕の住む北部では女性は自分のことをプンと言っているので、方言も探せばもっとあるでしょう。

ผม(ポムphǒm)は男性の一人称。丁寧な言葉なので俺とは違いますし、かといって僕という感じでもない気はするのですが、僕、私に近い気がします。

ดิฉัน(ディチャンdìchán)は女性の丁寧な一人称。ฉัน(チャンchǎn)はそれよりもう少しカジュアルな表現です。ฉัน(チャンchǎn)は男性も使っていいようですが、男性が使うとちょっとオカマっぽいイメージになるんだとか。ま、僕はฉัน(チャンchǎn)を使ってます。

言語学習ですら気を遣う(僕だけ?)

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さて、性に揺らぎがあるものからしてみればこの言語の性にも気を遣うものだと思います。そもそも僕は訓練所で男性一人称のผม(ポムphǒm)でおっけー!と聞いていたのでずっとそれで練習していたのですが、タイに来てみると配属先のプレジデントにそれはやめなさい、女性の人称を使いなさいと言われてしまったのです。

これを言うと年寄り差別だと怒られてしまうかもしれませんが、大体今の50歳以上の人にはセクシャルマイノリティのことを理解してもらうのはかなり難しいと思っています。だからしゃーないというか、まいっかと思っています。元男性の人なんかに対して彼女(彼?)なんて書いてる記事とか見ると僕は殺意疑問を覚えるのですが、そういうの書いてる人は大体年齢がかなり上です(偏見ね)。その(彼?)ってやつ要らないだろ!!

実際若い人は僕がผม(phǒm)を使うことに特に違和感はないようですが(そもそもトランスジェンダーだと気が付いていない場合もあるが)、年齢がかなり上の人には理解しがたいようですね。タイであっても。

こういう本はタイにはないんだろうか。

そんなこんなで僕は一時期タイ語を話したくなかったんですね。一人称以外にも、タイ語の敬語は語尾に男性ならครับ(khráp)、女性ならคะ(khá)をつけますし、これらは返事の「はい」にも当たります。語尾につけなくても会話は通じますが、超タメ口みたいになってしまうのでそれはそれで困る。

居心地の良さを探して

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しかし、タイ語の性をすでに刷り込まれてしまった僕からすると、女性言葉を使うのは非常に居心地が悪い。てなわけで僕は割と英語に逃げていました。しかし英語が通じるのは職場の一部の人だけ。他の人や患者さんと話すにはどうしてもタイ語が必要です。

時が経ち「なんかまぁ...いっか」と思ってきたのと、話さないと上達しないのとで今はシーンに合わせて使い分けたり、一人称を言わずに話したり(それでも通じます)しています。あとタイ語では自分のこと名前で呼ぶことも多いですね。フォーマルな場ではダメですが、日本みたいに「うわぶりっこかよ」とはならないようです。普通のことみたい。

言語によるコミュニケーションは相手ありきのものです。そして言葉選びは自分とその周囲の空気に影響します。僕はタイ語ネイティブではないのでそこまで深く考えなくてもいいのかもしれません。しかし、せっかくここに住んでタイの人たちと暮らすのであれば、彼らのことをより知りたいと思うのです。だからその場に会った適切な言葉を使いたいし、自分のこともオープンにしていたい。

以前も書いたとは思いますが、タイにはタイの居心地の良さがあります。

バンコク滞在記―バンコクのトランスジェンダー事情

僕もタイでの振る舞い方に慣れてきましたが、違和感を覚えることもあります。そこに対して「いやそれはおかしい」というのか、文化だから、と受容するのか。言語面の話も含めて最近の僕の生活上の課題ですね。

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ちなみに職場には20人もいない職場にもかかわらず僕以外に3人のセクシャルマイノリティがいます。やっぱり多いのでしょうか?最近LGBT視点でタイを見ていなかったので(当たり前にいすぎて)、もっとその辺りに注目していきたいですね。

 

新メンバーの記事にも注目!

パイオニアが始まって一年以上が経ちました。おかげさまでランキングでも1位になったり

メンバーも増えたりで、今は新メンバー2人がガンガン記事を書いてくれております。

レズビアンでもバイセクシュアルでもなく、私がトランスジェンダーのFTMだなと思った理由〜Hossyの甘酸っぱい(むしろ苦い)恋愛~

 

新メンバーMitchanのキーワード②「友人や彼氏へのカミングアウト」~結局は人間性が問われる?私がバイセクシュアルを打ち明けた理由~

 

ヒロトさんとパイオニアを立ち上げ1年以上が経過しましたが、こうして記事を書いていて色々な繋がりを持てているのはありがたいことですね。今後ともパイオニアを宜しくお願い致します。

 

参考文献

日本語は「空気」が決める~社会言語学入門~

 

 

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-FTM, Jan, LGBT人生, タイ