うつ病は心の風邪か?~あるFTMのうつ病治療~
一時期こんなフレーズを見かけました。
「うつ病は心の風邪」
風邪、誰にでもかかるありふれた病気そういう意味が込められたのでしょう。あと、万病の元かな。
しかし、それと同時にこのようなイメージも皆さんに持たせています。「すぐ治る」そんな例えを聞いてから他ならぬ私も「うつ病=すぐ治る」とイメージしていました。しかし、実際うつ病の治療に取り掛かるととんでもない間違いだったことに気が付きました。
うつ病との付き合い
丁度、うつ病の薬を飲み続けて1年が経ちます。この週が明けたら肝機能の血液検査をします。薬の成分は肝臓で代謝、つまり成分を分解します。そのため、肝臓に負担が掛かりますので年に一回肝臓の検査をすると良いらしいです。
なんでうつ病になっちゃったかといいますとね、簡単に言うと休む暇がなかったからです。
資格のために単位取って、他の資格の試験して、部活の試合に、書道の昇段試験、さて期末だ・・・etc これが3年の秋に一気に来てしまいまして、部活の試合が終わったとたんになんか体が動かなくなりました。期末試験はボロボロで、GPAをおもいっきし下げてきました。そして、これは不幸なことなのか先生にこれやってみない?と提示された卒業研究に2つ返事で承諾してしまい、春休み中、(卒研しなきゃなー)とか思ってたので実家に帰って休養を取ろうと考えていなかったし、気付けば実家に帰る体力も残されていませんでした。
承諾した理由は、とても良いテーマで自分でテーマ決めるのに行き詰っていた自分にはとてもありがたかったし、すでに上手くいく見通しが立っている。学会発表は明らか。今までの研究データを使えば今年論文も行けるかも。こんなチャンスは自然科学系の大学生ではめったにありつけないのは直感でわかりました。しかし、永遠と試料作りと実験する作業で、あの頃の自分が一人で作業するには煩雑で量が多かったとしかいえません。
そして、自分でテーマが決められなかった悔しさから、「自分のやりたいテーマができなかった」と言ってしまい、どうも聞こえていたらしく先生を傷つけてしまったようでした。あの先生にはもっとも大切なテーマを私のこと信用して選んだのに、最低なことをしました。
さて、話がそれましたが、とてもさばききれない量の用事が入ってしまい、身体が動かなくなっても「やらなきゃ、やらなきゃ」と心だけでも発破をかけていた。これがうつ病の発症から長引くまでのお話です。
鬱の症状
起きられない、考えられない(思考がぐるぐるする)、動けない、笑えない、身体と心が離れた感覚がする、自殺をイメージする、歩くとからだがふわふわする、勝手に涙がでる、ちょっとイライラしやすい。
私の場合はこんな感じでした。人それぞれ違うことはありますが、母もうつ病になったことがあるので聞いてみたら、起きられない、動けない、身体と心が離れた感じはあったそうです。
ちなみに母方の従弟も精神疾患になりました。遺伝的になりやすいとかあるのかな。
うつ病の寛解
うつ病は症状が減ると寛解(かんかい)という「薬はまだ続けるけど、日常生活に戻ってもいいよね」という状態になります。この頃なると通院の頻度とお薬の量も減って、私の場合は2か月分のお薬を渡されました。
寛解とは完治じゃないけど病状が軽くなるあるいは治まっている状態のことをいいます。
なるほど、今まで12時に寝て14時に起きて16時に登校していたのが、最近は12時に寝て11時に起きて13時に登校している。だいぶましになったな。(えっ・・・?)
と、いうわけで今まで先生が帰ってしまうかもしれない時間に登校していたのがお昼くらいに顔を出せるようになりました。
すると、「症状良くなってきたし、薬外す日を増やしてみようかな」と判断しました。お医者さんもそれでいい、2日に1回のペースとかでいいよとアドバイス貰ったのも判断の理由でした。しかし、この判断は良くない結果を招きました。
2日に1回から3日に1回、ついには1週間外しました。このペースが速すぎました。1ヶ月の内にこれをやってしまいました。そして、大学の文化祭の時、大学院の研究室訪問もかねて遊びに行こうとした瞬間・・・
(ズキン)
「い、いたい 胸がいたい・・・苦しい・・・」咄嗟に薬を飲みました。
「こわい、そとにでるのがこわい。でられるけど、でちゃいけないきがする。でなきゃ、でたくない。くる、しい。」
薬の効き目はなく玄関で立ち往生すること2時間、夕方になってしまいました。
なんとか、痛みが治まり、学校に向かいましたが、身体はフワフワふらふらおぼつかず、得体の知れない恐怖に襲われ続けました。その後、ちょっとだけゼミの人と文化祭を楽しむことにしましたが、外にいるのが辛かったので、早めに切り上げました。
サインバルタをずっと服用していますが、即効性のある薬ではないのでこういった症状が出る前に飲まないと意味がないです。「あと12時間後に胸が痛くなるよ!」なんて身体はしゃべってくれません。症状が治まると薬とか忘れがちになりますが、忘れるといつか辛い目にあいます。
うつ病の残存症状
あれ以降、毎日飲むことにしました。身体を粗末に扱った結果、治りかけてた不眠に再び悩まされるようになりました。
うつ病はたとえ大体治ったよと言われても残存症状といって様々な不具合が身体に残ります。例えば足を骨折しました。お医者さんには「骨はくっついたから杖なしで生活できるよ」と言われても、入院している間に足の筋肉が衰えてしまっています。いきなり「じゃあ今日からサッカーしよう!」ってなりますか?そんな感じですぐに病気になる前と全く同じような生活には戻れません。少しずつ根気よく残った症状もなくなるまで気長に付き合っていかなくてはなりません。
ナショナルジオグラフィック三島和夫先生の記事ではうつ病が完治した人、残存症状がある人とない人を比べた所、残存症状のある人ではうつ病の再発率が3~6倍も高かったようです。
ADHDや性同一性障害とうつ病
ADHDやLGBTの人はうつ病になりやすいと言われています。
ADHDの場合、自分含め彼らのキャパシティは一つのことでいっぱいになりやすく、それにより他に気が回らないつまりは不注意によって他人から冷ややかな目線を人一倍喰らっているのです。人一倍、人の叱責から耐えなければなりません。怒る方も怒るたびにイライラするので同じ人を怒らせた時の辛さは例えようがありません。そんな日常を繰り返すたびにどこかで臨界点を迎えるでしょう。しかも、ADHDとうつ病等の精神疾患は症状が少し似ているため、ちょっと症状が出たぐらいでは「自分はもともとこんな人間」くらいにしか考えないこともあります。
性同一性障害の人もうつ病になりやすいです。やっぱ人間関係だろうなと思います。自分の体に不満があるからだという人もいるでしょうが、私個人の考えから言わせれば、周りの人間の評価を気にするから自分の体に不満を持つのではないかと。要は周りにアレコレ言う人間がいなくなれば自分の体のパーツなぞ半分以上どうでもいい・・・。ちゃいますか?
どちらにせよ人間関係が与えるストレスはかなり大きいので、無理な付き合いは減らし、楽しい付き合いができる人を探し、関係のない人からの目線を気にしないのが一番疲れないと思います。頑張ってスルースキルを見に付けましょう(笑)
結局、うつ病は心の風邪?
うつ病というのは一見心が落ち込む、慢性的に心が落ち込んでなにもやる気が起きないといったイメージを持たれる方も多いと思いますが、この心が落ち込むというのは「脳の疲労」と言った方が的を得ており、うつ病になるまでの発症メカニズムは風邪というよりも疲労骨折に近いと私は考えます。
骨のオーバーユースが疲労骨折ですが、神経のオーバーユースがうつ病を始めとした精神病の数々ではないでしょうか。
そして、疲労骨折は風邪みたいに3日~1週間くらいで治るでしょうか?少なくとも1ヶ月は安静にして、完治は2ヶ月くらいのようですね。もちろん完治するまでに激しい運度などもってのほか。
うつ病もしっかり1ヶ月は安静にするべきだと感じました。良く寝て、しっかりタンパク質、ビタミンをとって、良く寝て、身体がなまってきたら散歩して・・・。
うつ病になりやすいのは真面目な人が多いと言います。こんなニートみたいな生活が元々根っから苦手な人が多いと思います。そういう人達なので、放っておくといいますかしっかり休ませれば、うずうずと仕事をしたくなってくるでしょう。その頃が社会復帰のタイミングです。体のー心の内側から「働きたい」ってエネルギーが湧いてくるはずです。その時のあなたはきっとキラキラした笑顔で面接に臨んでいるでしょう。だから、もしうつ病ナウな人がこれを読んでいたら慌てて社会復帰しようと思わなくて大丈夫。あなたの心と体のタイミングがあなたを導いてくれます。今は家事を少しずつこなしていくのはいかが?
今は、朝起きて学校に行くのもだいぶ苦ではなくなりましたが、ここまで回復するのに長い期間の療養が必要でした。資格を取ろうと考えていたためずるずると学校に通っていましたが、病気の時はやらないといけないことはできるだけ減らし、しっかり休んだ方が良いです。最後に、
薬を飲むこと、良く食べる事(特にタンパク質!)、良く寝る事、ぼちぼち楽しむこと
これがうつ病から立ち直るのに必要なことだと思います。