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2018年2月25日完 パイオニアのご愛読ありがとうございました!

彼(彼女?)の(彼女?)的なやつが侮辱としか思えない件についてー不要な詳細説明とアウティング

こんにちは、ジャンです。最近はあまり見かけなくなったけれど未だたまに見かける彼(彼女?)や、彼女(彼?)という表現。当事者的には侮辱としか捉えられないこの表現はなぜ起こってしまうのでしょうか?そして何が問題なのでしょうか。

全てを話して「あげる」のは正義じゃない

割と周りに無関心なタイ人

任地に来てもうすぐ半年、同期隊員も活動が本格的になっていたり、そろそろ日本が恋しくなったり、そんな時期であります。もう7月かー早いなーとさっき思ってたのにもう8月来るじゃん、というくらい時の流れが速いです。

タイは良くも悪くも日本と比べて周りに無関心な気がします。横で何の作業をしていてもあまり気にしないというか、なんとなく日本ほど人目を気にしなくていい気がしていました。もちろんセクシャリティに関してもそうですが、それ以外でも。タイの同期隊員も同じようなことを言っていたので、きっとそうなのでしょう。

しかしながら、どこに行ってもだいたい日本人はいるわけです。というか僕はJICAのボランティアとしてタイにやって来ているので、日本人と付き合わざるを得ません。僕の場合日本にいる頃から人間関係でトラブルがあることは稀だったので、ここでも特に問題はありませんでした。

唯一気になるのは、結局こちらで知り合う日本人の多くは僕を戸籍上の性で扱うという事。または、「彼女?彼って言った方がいいんだっけ?」というクソ余計なお世話発言をされることがたまにあります。かなり目上の方なので笑顔で交わしますが、一瞬心中穏やかでなくなるのは事実です。なめとんかいコルァ。
タイ語には彼、彼女の区別が基本的にはありません。単語がないわけではありませんが、日常会話では使わないのです。だからタイ人と話していても特に気にならなくて忘れてしまうのですが、たまに日本人と話すとこのザマです。と言ってもこれは国籍より年齢層の話なのかな、とも思います。タイの人も年齢が上の人は、日本人が思っている以上にセクシャルマイノリティに寛容でないと思います。

というかタイ人は表現がストレートなのよね。繊細な面もあるけどツボが違うというか。身体的な差別発言を平気でしますし(太っている子が先生に豚って呼ばれたり。でもタイ語の豚は侮辱ではなくて可愛らしい感じらしい)、言われる側もそれを気にしません。むしろ笑いを取りに行ってる感じ。それはそれで悪くはないかな、とも思います。アメリカ人は結構引いてたけど。

詳細に表現したがる日本人

だから日本人が「彼女?彼って言った方がいいんだっけ?」っていうのとは構造が少し違いますね。日本人のそれは暗に、「あなたは性別に揺らぎがあって生まれは女性だけど男性として扱われたいんだよね?そうだよね?」というのを押し出している気がします。冒頭でも書きましたが、トランスジェンダーに関するコラムなんかでもたまに彼(彼女?)みたいなのをたまに見かけますが、侮辱かよって思いますよね。

あれってなんでそういう表現をするんだろう?と考えてみました。

なんというか、今だにトランスジェンダーに対して「この人は男性です」とは言い切れず、「(この人は生まれは女性ですが)現在は男性です」というカッコ書きをしたくてしょうがないんだろうな、という気がするんですね。

もちろん自分のことをトランスジェンダーである、と認識していて、むしろ男性だ、と言い切ることに違和感がある人もいますし、そういう人が自らそのような表現をするのなら構わないでしょう。

しかし他者が本人の意思とは裏腹に「(この人は生まれは女性ですが)現在は男性です」とか、「彼女?彼って言った方がいいんだっけ?」などと表現するのは完全にアウティングです。

アウティングは本人の了解を得ずに、公にしていない性的指向や性同一性等の秘密を暴露する行動のことを言います。ここ最近では昨年の一橋大学アウティング事件が記憶に新しいかと思います。

男性として生活している人が戸籍上女性であることを暗に示すのもアウティングですし、同性が好きであることを本人が隠しているのに人に話すのもアウティングとなります。

性自認と社会規格への適合

自分が自分の性をどのように感じているか?特に言葉を知らない幼い、若いうちには自分の違和感や他者との相違を言葉にするのが容易ではなく、モヤモヤした思いを抱えがちです。

なぜモヤモヤするのかといえば、周りの人にわかるように説明するのが難しく、自分が望んだ扱いを受けられないから、ということになるでしょう。

cakesの牧村さんのコラムの冒頭にこんな話がありました。

「本物の女よりキレイ!!」

そんな言葉にも、もう傷つかなくなった。

そう、Sは言っていました。

Sは男性とされて生まれ、女性として生きる人です。男性器切除などの手術・戸籍の性別変更・女性名への改名を済ませ、雑誌みたいなOLファッションで貿易会社に勤めています。

Sは、女性です。

彼女のような人を「トランスジェンダー女性」とか「MtF(Male to Female)トランスジェンダー」と呼ぶこともあります。また、実際に「MtFである自分」を自認して生きている人もいます。

ですがS自身は、「女性である自分」をずっと生きてきている人です。そしてそれは、男性器を切除する前でも同じことだったといいます。
「私を“元・男性”とか言う人もいるけど、違うよ。私が男だったことなんか一度もないよ。オギャーって生まれて『おめでとう、元気な男の子ですよ』って言われた時から、私はずーっと女だった。黒いランドセルを背負わされても、セーラームーンごっこに入れてもらえなくても。私はずっと、今も昔も、ずーっとずっと、女なんだよ!」

だからむしろ「私は昔男性でした」というほうが、よほどウソをついている感覚になる。なのになぜ、私はわざわざそんな“ウソ”をつかなければいけないと思ってしまうんだろう——。そう言いながら長い髪をいじるSを見て、私はこんなことを思いつきました。

「『人類70億人が、男性/女性のたった2種類に分けられる』。そんな壮大なウソを本当らしく見せるには、その反対側に置くウソをでっちあげないとやってらんない、って話じゃないの」

「 彼氏って言うけど『本当は女』でしょ。私にウソをつかせるの?」と言われましたより引用

僕も記事ではこんなこと口うるさく書いてますが、実際日常生活で深く考えない発言をしている人を見かけても何も言いませんし注意もしません。笑ってかわすだけです。可能な限り顔にも出しません。あはは、どっちでもいいですよーなんて言ってかわします。いちいちそんなことに目くじら立てて、うるさい人間だと思われる方がよっぽど嫌だからです。バカなふりをした方が楽なことの方が多いのです。

それを意気地なしと捉えることも世渡り上手と捉えることもできます。しかしやっぱりこのままは良くない、と思うからこんなことを書いてみた次第です。

まとめ

アウティングするな。そんな権利は誰にもない。

というお話でした。

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