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2018年2月25日完 パイオニアのご愛読ありがとうございました!

『同性愛は「病気」なの?』を読んで ~同性愛の歴史を紐解く~

こんにちはHossyです。今回はLGBTに関連する本を一つ読んだので、簡単に紹介しようと思います。同性愛という言葉の歴史を優しく紐解いた内容で、いつから同性愛が存在したのか興味のある方にはお勧めです。

 

「私は、同性愛者なんでしょうか?」と相談を受けるたびに考え込んでしまう…。筆者はフランス人の女性と結婚したいわゆるレズビアンで、デビュー作は『百合のリアル』。そんな彼女の元には毎月数十件もの相談が来るそうです。2年間、400件近くの相談を受ける内にこのような疑問を持ちます。

「なぜ『異性愛診断テスト』はないのに、『同性愛診断テスト』は必要とされ続けるんだろう?」

そこで筆者はDMMによるLGBTのコミュニティサイト「2CHOPO」で世界の色々な同性愛診断についてまとめた記事「世界の同性愛診断法~画像から医学テストまで~」を執筆しました。この本は、筆者がいままで調べてきた同性愛診断法やその歴史を年代順に優しくわかりやすく筆者の感想を交えながら進んで行きます。

1章では同性愛という言葉が誕生するまでの背景、2章ではなぜ同性愛に生まれたのだろうと悩み立ち上がる人々や、科学的なアプローチを試みた人々について。3章は世界大戦によりナチスや米軍が同性愛診断に乗り出したというもの。ショッキングな歴史を乗り越え4章ではもう一度、「同性愛ってなんなんだろう?」と考え直します。最後の5章では現代、まだまだ根強い偏見の目があることを踏まえつつ、先人たちが残した言葉を振り返ります。

 

同性愛という言葉はいかにして生まれたか~第1章を読んで~

果たしていつから同性愛は犯罪になったのでしょう。一部の民族の間では同性との行為は普通のことであったり、文化だったり、神聖なものとして扱われていました。

例えば、エジプト領シワ・オワシスに暮らすシワン族は男色行為が当然な慣習でした。レソト王国では「マミーベイビー」という習慣があり、女子学生同士で「マミー」と「ベイビー」と呼び合って勉強や生活全般を支えあって過ごすもので、時には恋愛にも似た行為をしたそうです。また、その関係はそれぞれの結婚後も続くことがあるそうです。シワン族にもレソト王国にも同性愛という言葉はありません。

 

 

同性愛者」という言葉が生まれたのは1868年のことでした。ハンガリーの作家カーロイ・マリア・ケルトベニと、ドイツ、プロイセンの法学者カール・ハイリンヒ・ウルヒリスが交わした手紙がきっかけでした。

ケルトベニの暮らす当時のハンガリーでは同性同士との恋愛は「自然に反する罪」つまりタブーでした。しかし、それでも同性である男に恋した友人が金を払わないとバラすぞと脅され、20歳で命を自ら絶ってしまいました。その人は友人であるケルトベニに遺書を残し、それがきっかけでケルトベニは「自然に反する罪」に不正義を感じ、立ち上がりました。

一方、ウルヒリスは「女の子になりたい」という程、女の子と遊ぶのが好きな男性で、また同性愛者でした。学者の彼は自らの考えを偽名を使い「男性観の性愛についての人類学的研究」という論文として発行しました。そして、さらに様々な人と出会って同性愛者の多様性に理解を深めていきました。

 

つまり、ケルトベニは同性愛者だった友人の死をきっかけに、ウルヒリスは自分自身の女の心について考え、当時のハンガリーやオーストリアにあった同性愛を罰する法律「自然に反する罪」にそれぞれ立ち向かっていきました。

初めての性についての論文投稿から時が立ち、ウルヒリスは学会で自らの考えまとめ発表した後、牢屋に入れられてしまいました。しかし、その講演を聞いていたケルトベニがウルヒリスに手紙を書きました。その時にケルトベニは同性愛者をこう表現しました。ギリシャ語で「同じ」を意味する「ホモ(Homo)」、ラテン語で「」を現す「セクスス(Sexus)」これを組み合わせ、そこで皆さんもご存じの「ホモセクシュアル(Homosexual)」という言葉が誕生しました。

そして、「自然に反する罪」などない!同性を愛することは生まれつきで自然であると訴え続けていましたが、決死の訴えも虚しく、ドイツ帝国建国後も法律は引き継がれていきました。

 

世界の同性愛診断と治療の紹介

ちなみに本にはあまり触れていませんでしたが、日本も江戸の頃は同性との行為はとてもオープンであったそうです。つまり、同性愛という言葉は一部の国の厳重な罰が生んだ言葉なのです。今、同性愛をオープンなものにしようと努力している国は、過去に生んだ当事者たちの悲しみが反動になっているのかもしれません。

この本や牧村さんのブログを読んでいただけるとわかりますが、これに当たれば同性愛者!と1発でわかるものなど存在しません。また、身体をいじくれば治るというものでもありません。

様々な診断法や治療が載せられていましたが、多分ノーマルのかたでも「なんだこれは(笑)」と思うでしょう。しかし、開発した本人たちは至って真面目だから余計におかしく感じます。2つほど紹介させていただきます。

 

例えば、「口の中に”同性愛者発見器”を入れたら分かる説」発見器といいますが、要は口の中に棒をつっこんでオエッってならなかったらゲイ。ゲイは誰かの男性器を咥えているから咽頭反射が弱いだろうという考えからきたそうです。これがかつて米軍に取り入れられていたというから驚きです。

「人工男性器」(男性の)同性愛は男らしさが足りないことだから男性ホルモンを補充すれば治る。そう考えたヴァーネットという医者が、同性愛者とされた人の睾丸に男性ホルモンを注射したり、取り出して金属のものに変えたり(!?)といった人体実験をしたそうです。そして、いよいよ人間の体に埋め込むと男性ホルモンを放出するカプセル「人工男性器」の開発に成功?しました。果たして一体何人の人が命を落としたのでしょうか。

 

筆者は軽快に笑い飛ばすように、なおかつわかりやすくトンチンカンな診断法や治療を紹介していますので、おすすめします。

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